どうも、710です。
僕の映画を見に行くときの醍醐味の1つに、予告編があります。
最近だとYoutubeを見ているときの広告にも映画予告が入っていたりしますが、やはり劇場での予告編には
「実際に見に来たらこんな感じなのか」と温度感がダイレクトに伝わってきます。
テレビの新作情報だけだと「ちょっと気になるかもな」程度なのが、劇場予告だと自分の直感で
「これは見るべきだな…」と感じる作品も少なくありません。
今回はぼざろ総集編を観にいった時にたまたま予告が流れてメチャクチャ観たいと思っていた
ルックバック
を見に行った感想などをつらつら書いていこうかと思います。
公式HP:https://lookback-anime.com/
※ネタバレを含みますのでご了承ください。
上映時間のコンパクトさに対する満足度がレベチ
この作品の上映時間は58分で、約1時間なんですよね。
1時間以内の作品を観るのは初めてでしたので、最初見た時は正直なところ
「えぇ…1時間でまとまるのか…?」
といった印象でした…(笑)
どうしても上映時間が短いと、物語の進み方のスピードが速くなって急に場面がガラッと変わるイメージでしたので、ストーリーを十分に理解できないんじゃないか、といった心配もありました。
逆に予告編の上映時間を加味しても1時間強なので、見るためのフットワークが軽くて助かったとも感じます。
それくらいの軽い気持ちで観に行ったわけですが、上映終了後に劇場を出ていくときの僕の姿は見るに堪えないものだったと思います(笑)
なんというか…心にぽっかり穴が開いたかのようなとてつもない虚無感が襲い掛かってきて、
それでも道を進む覚悟を持った藤野(主人公)に対する尊敬の念が、絶望でやるせなくなった僕の心の穴を埋めてくれたような感じです。
一言でいえば「世界観にのまれて、半分思考停止状態」のような、ポケーッとした表情だったと思います。
帰り道にずーっと「あぁ…もう一回観たい……(涙)」となっていましたから(-_-;)
正直こんなに心打たれた作品は初めてかもしれません。
それぐらい満足した作品でした。
セリフ以外の音が作り出すキャラクターの感情がよく伝わるのが、劇場で観る良さ
この映画の僕が特に気に入っている点の1つとして、音がキャラクターの感情をより引き出していた部分があります。
主人公たちの年齢に合わせていくつかのパートがあり、序盤の小学生時代、自分より上手い絵を見た時に衝撃を受けるシーンがあるのですが、その時の無音の使い方、そして周りの喧騒の表現等々、この作品のアニメーションだけでない、音が作り出す場面の雰囲気が僕をより映画の世界の中へと引き込んでくれました。
このシーンを見た時に「あ、これは傑作だ。」と思いました。
さらにもう少し後のスキップのシーン。この時にランドセルの音だけでなく、その中身の筆箱や教科書がぶつかる音、これを聞いたとき「あ。これはバケモン作品だ。」と感動を覚えました。
このスキップのシーンはアニメーションもすごく力が入っていて、藤野が京本に褒められて嬉しい、という感情がどんどんと高まっていく、こみあがってくるのがキャラクターの表情だけでなく、身振り手振り、そして音の勢いで表現されていて見ているこちらまで嬉しくなってくるような、不思議な魅力を感じました。
このシーンを劇場で観ることができて、とても幸せだな~と感じています。
どんどん暗くなっていく物語、それ故に気づかない怖さ(あらすじ的な)
※個人的にネタバレだとおもった部分なのでアコーディオン+伏字にしてます
二人の創作に対する熱の方向はもともとほんの少し違っていたわけですが、齢を重ねて「職」に向き合うことになった頃から明らかに画面内が明るくなくなっていきました。
それまでのシーンは、様々な経験から創作を行い”2人の世界”を駆け上がっていく輝きがあったように感じます。
しかしこの後は藤野側だけの視点となり、連載作家として大成していくもその様子はどこか暗く、無機質なものとなっていきました。
実にリアルというか…その辺が現実ではどうなのかわかりませんが、すごく心を抉られる描写でした(褒め言葉)。
この間は後ろ姿しか映ってなく、彼女がどのような思い/表情で過ごしていたか、とか京本と連絡したりしていたのか、についてはこちらの妄想に任される形になります。
まあ話の流れ的に、連絡とってなさそうでしたけどね…(涙)
んで、例のニュースのパートになるわけです。
ガチで僕はこの時心臓がバクバクしすぎて自分の鼓動が聞こえるくらいには緊張してました。
メチャクチャ没入してたな、と思います。
そして久々に映る藤野の顔。その”絶望”と”虚無”で打ちひしがれて今までの印象と全く異なる顔になってしまったシーンのひどく心に突き刺さること。
とんでもない表現力ですよ、マジで。バケモンですバケモン作家と監督。
その後なんやかんや(めっちゃ語りたいけどめっちゃネタバレな部分)があって最終的には
また連載を行っていく藤野の背中がうつる……といった感じで物語は幕を下ろします。
成長してからの孤独感を覚える雰囲気に、畳みかけるような展開で終盤の僕の感情はぐちゃぐちゃになりました。
このリアリティのある、唐突で、どうしようもない、ぶつけようもない絶望が、逆に僕の心の穴を埋めてくれたように感じます。
今こうやって執筆しているときには「後半暗くね?」と思うことができますが、観てるときにはそれがわからないくらいスーッとグラデーションのように暗くなっていくわけです。気づけない不安定さをうまく表現しているなと感じました。
まだまだ語り足りないけど、とりあえず おわりに
以前の記事にも書きましたが、僕は
自分がプレイしたり鑑賞した後、満足するだけでなく、その作品の二次創作を作りたくなる
ような作品のことをよい作品である、という風に考えています。
今回も例に違わず、猛烈にファンアートが描きたくて描きたくてたまらなくなりました。
描くために仕事を辞めて絵の勉強をしたってかまわないと思えるくらいに
彼女たちが作家とアシスタントとして漫画を描いている姿を描きて~~~~~~~~~!!!!!!となりました(笑)
まあそれは、やりたいことにまっすぐな彼女たちの姿を見て自分も、やっと見つけたやりたいことにまっすぐに生きたいと感化されているんだろうな、と思います。
原作が読みきりなのでこれ以上の展開は起こらないんだろうな…と少し寂しい気持ちもありますが、
「それがほしいなら自分で作ってしまおう」という気持ちを久々に見つけることができました。
素晴らしい作品です。
まだまだ語りつくすことはできていませんが、とりあえず今回はこの辺で締めようかと思います。
もしよければ他の記事(基本ゲームですが…)もちらっと見ていただけると嬉しいです。
それでは。